シンポジウム「教育の未来を拓く電子化教材」(UT-eTEXT)メモ
7/16(金)に東大で開催されたシンポジウム「教育の未来を拓く電子化教材」に行ってきました。
個人的にはその前の週の教育ITソリューションEXPOよりはビジョンベースの話が聞けて楽しかったです(EXPOはシーズベースというか既存製品の皮を教育にしただけの感が強くて……)。が、まだ現場とのギャップは大きいような気がします。
また、@miyako3 にもお会いすることが出来て楽しかったです。他分野の人との交流は新たな気づきが得られて良いですね。
当日、僕が三宅先生の発表へのし損ねた質問です。現場でこれを聞きた かった……。
「教員間のコミュニティの形成すばらしいと思います。膨大なデータを記録したときに、履歴が爆発するとどれを見ればいいのか 分からなくなると思いますが、どのように分析すればいいか、多忙な現場の先生がぱっと見て分かるような何かアイデアはありますか?」
さて、当日取ったメモを備忘録として残します。今回は資料等が後悔されるわけではなさそうですが、漏れや誤解などもあると思いますので参考程度にしてください。
また、関連サイトのURLを下記に記します。
- UT-eTEXTのサイト( @teematsuさんありがとうございます! )
- 三省堂の高校数学教科書電子版 と 開発時のイメージ図 メモは以下の通りです。
2010/07/16(金) 13:00-17:00
教育の未来を拓く電子化教材シンポジウム
@東大法文2号館2F1番大教室
○小宮山氏
教わる方の視点は多様。
多様な視点に応えられないと教育は成り立たない
→構造化されて、ICTで実装された教材
2050年には人間の価値観と知とをつなぐ(知の構造化)研究を半分の研究者が行っているだろう。
社会と学術がリアルタイムでつなぐ
e.g)12人の生命科学の教授が作る、3冊の生命科学の教科書
→羊土社の理工系、生命科学系、文系進学者向け生命科学の(ICT)教科書を作成
生命科学の進歩が早すぎて専門家でもついて行けない
著名な先生でも「自分はかなり原理的なところで間違っていた」と言った。
→Wikipediaみたいな形式で構造化していくことが重要
教師用、生徒用、保護者用の知識データベースをクラウド上に置いて、進んだ個はどんどんやれるし、遅れている子は自宅でまたは進んだこと一緒にやっていくのが良いのでは。
iPadやKindleなどは、ほとんど課外活動にしか使えない
(課外授業、遠足、クラブ活動、修学旅行etc…)
50分の授業の積み重ねが大事。それに対応しないといけない。
50分授業1学期に対応したデジタル教科書をつくる
英語:8年間受けても話せないのは教育が悪い!
民間の塾、英会話教室の知恵を動員すべし。日本人がどうすれば英語がで
きるかは、外国は教えてくれない。日本人が開発しなければならない!
理科:生命科学はコンテンツ作成した
環境:日本が強い
IR3S Sustainability Science(世界で初めての機構)
芸術:日本の芸術はなくなってしまうかも!?
教員の集団としての対応力不足→社会人の大量導入とICTの高度利用
教員の不足:人数、専門的能力、「多様性」
日本の余剰資源:日本の余剰資源 60〜70歳、女性
日本はモデル転換が必要
途上国モデル(坂の上の雲:国主導で産業導入)→先進国モデル(霧の中:暮らしを良くしようとすれば、新産業が興って国が強くなる)
プラチナ社会=21世紀の住みたいまち を作らなければならない
Q:生命科学の教科書はどれくらい評価されているのか?
A:分かる人には分かる、評価されている。しかし、あまり見ている人がいない。
日本では56大学で採択されている。文系のための生命科学を「生命科学入門」として使っている。
既に電子教科書になっている。
○大学の知の開放 「理想の教科書」UT-eTEXT:東京大学 藤原毅夫教授
進化する教科書:Wikiをベースにしたself-editedな教科書
のべ1200〜1500人が学術俯瞰講義を受講
オムニバス講義ではなく、複数教員で1つの講義をつくる。
学術俯瞰講義サイト http://www.gfk.c.u-tokyo.ac.jp/
UTOpenCourseWare http://ocw.u-tokyo.ac.jp/
PodCastも配信中
・電子教科書が何故理想には遠いのか?
将来像(目的)が不明確。フレームワーク先行、コンテンツ不十分
iPadは、5年も経てばフォーマットが変わって使えなくなる
理由1:大規模IT企業先行、技術の進展のスピードが早い
理由2:電子化に伴う著作権のあり方が未整理
広い意味での教育に対して著作権は自由ではない。
著作権の考え方が各国で異なる。(e.g. Fair Use)
理由3:再利用が困難(コンテンツの陳腐化、高いソフト依存性)
1.コンテンツの使い回しを可能にするために、コンテンツとフレームワークの分離。面倒な新技術は使わない
2.著作権処理の一元管理・効率化
学術俯瞰講義のサイトは今週から完全オープンにしてある。しばらくはオープンにするが、いつか閉じてしまうかもしれない。
ビデオと講義のPPTが並んでいる。講義の書き起こしも付いている。
講義の書き起こしの文章からきちんとした説明のある所へリンクを貼れる。
話題に挙がっている本もすぐにリンクをたどるとAmazonで買える。
#東京大学研究博物館のページへのリンクもある
UT-eTEXTのシステム概要(東大、情報技研、オーム社で共同開発)
・編集システム