1TEXT file → ページ毎管理 → 1TEXT fileとしてダウンロード可
・著作権管理システム
・公開系システム
まとめ
1.コンテンツとフレームワークの切り離しを実施
→教育現場はどう受け止めるか?
2.多様な利用の可能性
実験書、実験ガイドブック、種々のワンストップサービス
3.著作権処理の困難(日本国民の活動に不利益)
4.オリジナリティとは何か?(この活動はどこにも保護されていない)
5.大学の研究?社会へのサービス?→大学の社会貢献
社会貢献にお金を割いていると、教育や研究にお金を避けなくなってくる。誰が負担をするのか?大学が事業として手を伸ばせないか?
6.双方向性、協調作業をどう可能にするか?
7.「理想の教科書」はコンテンツか?システム化?
・教師がtextB,Cを持つ学生を同時にまとめて教える
・textAを使うもの同士が協調作業できる
→これらを包括したプラットフォームがほしい
利用者の様々な工夫を生かせる、コンテンツが載せられるプラットフォームが欲しい
Q.UT-eTEXTはコンテンツとフレームワークが分かれていないように見えるが、再利用しやすいシステムになっているのか?
A.元の材料となるファイルは独立して存在しているので、そこから変換すれば大丈夫。
Q.プラチナ構想に乗るのか?乗せるべきではないのか?
A.18歳に自然に分かるものであれば乗せられる。ただし、今は一方通行にしかなっていないので、双方向なものフィードバックを出来るようにしなければならない。「私が知りたい物質科学は違うんだ」という声こそ重要。それをシステムに乗せることが出来れば、プラチナ構想に応えられる。
○UT-eTEXTをささえる 東大 大瀧友里奈
著作権の問題をどう考えるか
東京大学での実績
UTOCW(東京大学オープンコースウェア)
他人の著作物については、全て許諾をとっている(2005年から)
講義資料入手
↓
図版・画像等の出典確認作業およびリスト化
↓ ↓
オリジナル 引用
↓ ↓ ↓
全オリジナル 自著だが出版社で加工 ↓
……
著作権に問題ないように、差し替え、許諾を得るなどする
・Wikipediaから著作権フリーの画像を探す
・書籍、論文は著作者に問い合わせる
・ウェブ掲載物も同様
・許諾は講義のよって大きく異なる
- 90分あたり0〜170件
- 生命科学、都市科学、情報科学は多い傾向
対応を判断しないといけない場合
・家電や車の写真は誰の著作物なのか?
・建築物、工業製品はどこに許諾をとるのか?
・連絡先が不明の場合(出版社倒産、著作権者不明など)
これまでの課題
・膨大な作業量
・時間がかかる→既に過去の話題となってしまう
・情報の共有化が鍵→重複、漏れを避ける
著作権管理システムの構築
・コンテンツ管理と連動
・データベース化し、ノウハウを蓄積
連絡先 or 著作物を利用不可能
今後の課題
・資料作成時点からの改善
・許諾を得やすい出典のリスト化
Q.有料化はできないのか?
A.したいが難しい。国立大学法人がどこまでそれをやるのが許されるのかが分か
らない
Q.著作権が来年切れる、などあるのか?
A.ある。そういうものを管理するために、検索が出来るデータベースになってい
るのが重要。
○教科書の電子化が拓く可能性 神奈川大学 何森仁先生
資料参照
○教材を電子化して教育現場を変える」 東京大学 三宅なほみ先生
中京大学でIT基盤を使った、協調学習を研究していた。
電子化したかった一番の理由は、一つの章を書くのに最低3つの資料が出てく
る。教科書を出版するときは短いものを捨ててしまう。
一つのひな形として電子的にとっておける、ニーズに合わせた記述ができる、こ
れが電子化の一つの意義ではないか。
教材電子化の目的は?
・今できていなくてやりたいことは?
教育をどうしたいのか
・教育の質を上げたい←教員視点
・やり甲斐のある勉強をしたい←生徒視点
レベルの低いところから高いところまで対応する
教材電子化ビジョン
・学習者にとってのメリット
- 教材を学習者自身が編集して「自分なりに納得」し
- 他人の納得と比較吟味して
- 適用範囲を段々拡げ、その記録を取っておく
・教員にとって
- 同じ教材を教員が試して体験を共有し、
- どうしたら教育の質が上がるのかを相互吟味して
- 「教育の質向上」コミュニティを活性化する
電子化すればコミュニティが出来ていく
教育をどうしたいのか?
・教育の質を上げたい
- 楽しく、真剣に学んで欲しい
- 今より進学率が上がればよい……だけか?
・やり甲斐のある勉強をしたい←生徒視点
- 分かるようになりたい
- テストの点数があがる……だけか?
教育をどうしたいのかに「?」が付く理由
・目指されているのは、今の教育や学習では達成されていないこと
- 教員にも生徒にも「ゴール?」が見えない
- 新しい教え方はいろいろ提案されるが判断根拠が分からない
何が本当にベストな状態なのか?というのが分からない、見たことない
「?」への当面の答え
・学びのゴールは「発生的(エマージェント)」で多様
- 「自分なりのわかり方が他人と違うこと」が次のゴールを生む
- 「自分がとける(成果を適用できる)課題が他人と違うこと」が次の段階の学習を意欲づける
小学校5クラスあれば、皆違うことを教えれば、廊下で情報交換する、という話はあるが実現はされていない。
・教え方の原理は実践結果の相互吟味によって納得できる
二度と同じことは起こらないので、ケースを積み上げるしかない
「?」当面の回答支援
・学びのゴール←多様性を保証
・教え方の原理←教員間の相互吟味
教育現場を変える
・学習ゴールの多様性保証
- 学習者中心型学習形態へのシフト
- 学習履歴の保存、活用(自分と他の人の意見の比較)
・実践の共有・相互吟味保証
- 教材と実践結果の共有
先生が他の先生の教材を使ってフィードバックを返せる
- 教員ネットワークによる相互吟味
これら二つは相互にフィードバックされて良くなっていく
→電子的に履歴活用・相互吟味すので、電子化教材が2つがつながっていく
学習者中心型授業へのシフト
・自分の考えを外化して、意識的に見直したり作り替えたりする機会を積み上げる
- 「目的」のある外化によって意識かを容易にする
- 外化の履歴を振り返り、編集できる環境を準備する
・他人の考えを参考に、自分の考えを社会的に編集して抽象度を上げる
- 抽象レベルを上げるのに有利な聞き手の役割を重視
- 他人の外化履歴も活用できる環境を準備する
学習者中心型授業の仕組み
「雲はどうしてできるのでしょう?3つの資料の内容を組み合わせて答を作っ
てください。何故そういう答になるかも説明してください」(中学生)
・ある程度分かる部品を分担して担当
・各部品担当が一人ずつ集まって課題を解く
・各グループの解を総合的に検討して納得する
授業の成果
・雲の出来方を自分なりに説明できるようになる
・子供たちの感想
- 雲がどうやってできるか、予想していたのとまったくちがってびっくりした
- 曇って水蒸気の集まりじゃないの?
- 水滴と水蒸気って何が違うの???←元に戻ったのではなく、ここまで理解
できたと考えるべき
・どの程度
- 楽しかったか(35)楽しくなかった(1)
- 理解できたか(34)できなかった(2)
もう一つの例:「わかるとはどういうことか」(高校生)
・3つの資料
- 行間が読める
- 知っていることは覚えやすい
- 多義的な解釈も出来る
・「わからなくても、経験や知識がちょっと足りないだけ……かも」
実際のジグソー法の授業風景のビデオ
・先生同士で共有できるデータとは?
・Team Teachingでやる
・エキスパート(3つの担当)に分かれる。読むと分かること、記憶、脳について
・ジグソー(3つを併せる)
このような情報をCoREFで共有できるようにしていきたい
→高校数学の教科書も申請すれば使える(HTMLベース)
「使い方キット」に教案などがある
教材が共有できることの効果
・教員コミュニティの育成
- 教育委員会などと協力している
・教材作りへの「社会人プロ」の参加を容易にする
- 「教育現場の多様化」のモデル事業
学習履歴の活用
・授業ビデオと音声記録
失敗分析や知見もわかる
→学生のコメント「偏差値40くらいとは思えない、私たち」
電子化教材有効利用のためのIT基盤
・双方向性の確保
- 閲覧+ダウンロード+編集して投稿+新規発信
→クラス全員の子供の音声を個人個人に切り分けて、テキスト化してほしい
・履歴の収集機能
- ビデオ記録
・一部を切り出してコメントを付けweb上で共有する機能
- 音声記録
・クラス全員の話し合い音声記録からテキスト化
Q.早稲田非常勤の方。教員の能力・指導力を高めるためのDBを作る研究をしている。登録が非常に煩雑だと思うがどのように対応しているのか?
A.記録はかなりの部分で取りっぱなしになると思う。分析の時に、ここで何が起こっていたか知りたい!という時のために取っている。天井に360度カメラを付けて後からズームして分析できるというシステムは500万
○全体討論・まとめ 吉見俊哉先生
7つの論点
・小宮山先生
- 知の構造化
小柴先生が宇宙論から話していた。コペルニクスはなんで地動説を唱えたのか?アイゼンシュタイン「印刷革命」という書籍の中で言及。「新しい科学的発見があったわけではない。知識のプラットフォームにおける変化:グーテンベルグの印刷技術の発明。コペルニクスは50〜100年前の科学者と違って、自分の書庫を集めることが出来た。データへアクセスしやすくなった。データの比較検証して構造化することが出来るようになった。」これは、現代にも通じる。デジタルメディアのおかげで、莫大な情報に包まれている。情報の海の中で学問的に意味があることは、アクセシビリティの向上を、知の構造化へどのように結びつけるか?
たくさん情報が使える人が増えても仕方がない。自らの視点から情報をまとめあげることができるかが、教育として重要である。
- Recycle
「資源をRecycleすれば資源に乏しい国じゃなくなる」という話は、物質だけの話ではない。知や文化自体をRecycleして構造化し直すことが重要。文化・コンテンツは生産→流通→消費という流れになりがち。テレビ・映画・芸術など様々な文化もRe-useしなければならない。蓄積して循環させないといけないという時代になっているのだろう。
- うねり
「さざ波をうねりに変えなければならない」というのは、社会運動の語。60年安保、反日米安保のデモ行進?戦後からの「運動」というものが変わってきた。反体制運動→市民運動→社会全体が考えなければならない問題になった。
・藤原先生、大瀧先生
- フレームワーク
フレームワークとコンテンツの分離とコンテンツの転用可能化。
何故日本の社会がGoogle,iPodを生み出せなかったのか?それがフレームワークとコンテンツの間にある問題に関係あるのでは?それは、標準化が出来ているのか?という問題に関係している気がする。
- 著作権とは何か
世界的にロスが大きい問題。文化的なリソースがあるのに使えない、最大のネック。著作権不明著作物(オーファン?著作物。みなしご著作物)。どうもはっきりしないために処理できないケースが多い。文化庁長官の裁定制度はあるが、非常に煩雑で処理が大変。公共的な合意ができない。
・何森先生、三宅先生
- 教科書とは何か
仮説:教科書の方が本より古いのでは?
知識の三脚台モデル:図書館(集積場)、教育カリキュラム(プロセス)、百科事典(情報)
百科事典は教科書に近い。
教科書は印刷された本そのものではない。教える/学ぶプロセスそのものである。学校、大学などができた中世、近世に戻るとその答があるのでは?技術と法的制度、学校現場の実践が組み合わせられながら実験されているのが現状。
- 教師とは何か
Wikipedia,Google,YouTubeなどで、誰かの知識が皆の知識になっている=匿名化している。明確な著者がいるときは、間違いを犯しても責任の所在が明らかである。匿名化した場合は誰の責任かが曖昧化してしまう。教師はそういう意味でエキスパートである。専門性・エキスパート性をどう担保するかが重要。
・藤原先生
計算物理のシミュレーションで何十年かけてやってきたことを世の中に残したい。知識やプログラムを作ってきたが、もう一度作り直さないと世の中に出せない。モジュール化されていないため、更新しにくい。外部に公開するためには作り直しが必要。
研究した知識を公開するために標準化が必要。それをUT-eTEXTでやっている。
・大瀧先生
日本の中での教育が、教室の中だけでなくなっている。教育で使う場合はOKとい
う先生も多い。東大がリードしていきたい。
・何森先生
小中高の教師とは、生徒に分かってもらってなんぼ。若手の先生が手書きの資料をたまたま作っていったら、生徒は心がこもっているからそっちにして、と言った。匿名化については、「何を信用するか」という教育していけば良いのでは。大学の先生は分かってもらおうと思うよりも、熱を込めて伝えれば十分では。
・三宅先生
プロセスとしての教科書は電子化にとてもあう。
「オリジナリティに対する著作権」というのは面白くなる。「ガモフー」の話が面白いと言うが、それを紹介した人がすごいのでは。
エキスパート性とは、全ての人にわかりやすく説明できる人ではないか。
説明の多様性がとれるのが重要だと思う。
Q.日本人は機械設計はできるが、多国籍の人を引っ張っていってリーダーシップを発揮できる人が少ない。比較文化、比較言語を構造化してmulti cultural/lingualな人材が育つと思うがどう思うか?
Q.教育家庭新聞西田氏。高等教育に使われるものなのか、小中は範囲外なのか?
Q.NTTデータ重木氏。電子化教材がテーマ。エンドユーザが直接データを使える
のがコンピュータ利用の最大のメリットだと思う。学習者そのもののインタラク
ティブ性をどう考えるのか?
Q.産学連携を加速するフレームワークを。ニーズを産業界へ。
Q.理想の教科書をどのように大学教育で使えばよいのか?効果測定をどのように
するのか?
Q.子供にとって「知の構造化」が本当に重要か?優先順位として一番重要なのか?やる気のない先生をやる気のあるようにするのがポイントだと思う。どうする?
・藤原先生
A.産業の中での研究というものが、どういう考え方でやっているのか分からない。企業が何を目的に何を研究しているのか出さない。MDAを結んでも10分の一くらいしかわからない。人の流れがもっとあっても良いのでは。
ニーズとシーズがかみ合わないことについて。状況を大学教員が理解していない。UT-eTEXTを他大学が使えるか?という話は、是非使って欲しい。しばらくはフリーで使っていただくつもり。
・大瀧先生
A.著作権管理システム、編集システムは大学のみならず使ってもらえると思うので、一声ください。
・何森先生
A.やる気のない先生・社員は多い。パレートの法則の紹介。
先生は報告をしている。「来週の授業をどうするか」ということを。文科省の指導要領通りやりなさいということが、ことごとく言われる。やる気がなくなる。教員にもっと自由にやれる環境を。
・三宅先生
A.マルチカルチャー/リンガルの話。中京大の学生が苦手と思った英語のMITの授業のビデオをみていた。
一人の人間が、どういうところで何をやってどうなっているのか?大勢として日本人はどうなのか?という情報がない。1ケースのものすごく長いスパンの情報が集められると良いだろう。
・吉見先生
A.リーダーシップ。従来の大学教育の仕組みが、リーダーシップを発揮するものではないのではという批判は受け止める。が、大学だけの問題ではない。どうも、日本は知識を大切にしない社会なのではないか?本人だけが優れているから大切ではなく、社会の中での相互性によって人物ができるのでは。博士や修士が企業でどれだけ大事にされているのか?まっさらな状態で欲しい、というのでは大学の知識は大切にされていないのでは。
修士や博士をとれば、キャリアパスが広がる、というのではうまく社会へつながらない。社会の側で大学、大学で学んだ知識を大切にすべき。
アーカイブの話。岩波映画の保存活動をしている。岩波科学映画、理科教材として良くできている。古いが良い教材。良いコンテンツは古びない。ストックされて蓄積されるのが良い。NHKアーカイブスの公開化が進み始めている。国会図書館も同様。これをさざ波からうねりに変えていくのがこれから。
○藤原先生の締めの言葉