うつくしい子ども
石田衣良の「うつくしい子ども」です。
石田 衣良 / / 文藝春秋スコア選択: ★★★★
また石田衣良を掴まされてしまいました(ほめ言葉)
途中で気になって確認したのですが、1999年に書き上げられています。このあたりの時代って、自分が高校生になった頃で結構少年犯罪がどうのという話が取り上げられてしばらくした後というような印象です。
ちなみに、読んでて気持ち悪くなったり胸くそ悪くなったりするので、僕みたいに小説に癒しを求める人にはお勧めできません。主人公は猟奇的殺人犯の兄。そして、もう一人の主人公は新聞記者。二人の視点から、「何故、主人公の弟は犯行に至ったか」を追いかけていきます。
相変わらず石田衣良は、読者をはらはらさせて次を読ませて、カタルシスへと駆け抜けさせるのが得意だなぁと言う印象。しかし、それと平行して犯罪者の家族に向けられる牙を疑似体験させられました。
最近、揚げ足取りのようにマスコミが叩く風潮から、Webでのコメント(2chやブックマークを含む)での追求がなされるフェーズへと移ってきたように感じます。従来の、一辺倒な報道からの情報に比べれば、はてブやブログで得られる多面的な背景は読んでいて考えさせられることが増えましたが、脊髄反射的に正義のコメントを展開する姿はある種滑稽にも思えます。いや、これなんか見てると、言いたいことはわかるんだが本末転倒というか、本当に子どもを心配する気持ちを利用した方が弾劾されてしかるべきなのに、反射的な反応は考え物だなと思った次第です。想像力の欠如とかなんとかよく言われている言葉にするとチープなんだけれど、もう少し人に優しい世の中にならないのかなぁ。
閑話休題。センセーショナルな題材(恐らく当時、そして今も)であることに目を奪われてしまうかもしれませんが、そこを描きつつも問いかけられるメッセージが何だったのかを受け止めたいと思います。
でも、二回目は読みたくない本です。食欲がなくなるので……。